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症例報告

尿管結石の猫の1例

2024.3.12
ブログ

今回は猫の尿管結石の紹介をさせていただきます。

 

 

尿路結石はできる部位によって、腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石に分けられます。結石の種類としてはシュウ酸カルシム結石、ストルバイト結石が有名で、ストルバイト結石は食事療法で溶けるのに対し、シュウ酸カルシウム結石は食事療法では溶けないことが分かっています(手術で取り出すしかありません)。

膀胱結石ではシュウ酸カルシウム結石、ストルバイト結石が概ね1:1の割合なのに対し、尿管結石では95%以上がシュウ酸カルシウム結石だったとの報告があります。

 

 

尿管結石が存在すると、尿の流れが悪くなり、腎臓にダメージが加わり急性腎不全を発症することがあります。

急性腎不全を発症すると急に水をよく飲むようになる、嘔吐する、食欲がなくなる、おしっこが出ないなどの症状が出ることがあるので注意が必要です。

 

 

尿管結石による腎不全の場合は基本的に点滴などによる内科治療は推奨されておらず、ほとんどの場合で手術が必要になります。

尿管に詰まる結石は小さいものでは1mm程度、大きくても5mm程度と非常に小さく、手術難易度も高いと言われています。

 

 

尿管結石の術式には尿管切開法、尿管膀胱新吻合など色々な報告がありますが、当院では尿管に詰まった結石を切除し、その部位を新しく膀胱に繋ぎかえる「尿管膀胱新吻合」という術式を頻繁に用います。

この方法は腎臓に近い太い尿管を膀胱に繋ぎかえるため、新たに尿管結石ができてきた場合にも結石が尿管に詰まらず、膀胱まで流れてくれることがよくあります。

 

 

尿管結石を摘出した後は、予防も非常に重要になります。尿のpHが低いとシュウ酸カルシウム結石が出やすくなるため、尿検査の結果に基づいて尿をアルカリ化させる薬や、尿の比重を下げる(尿を薄くする)薬などを用いて予防に努めます。

また水分摂取は非常に重要で、ドライフードからウェットフードへの変更も提案することが多いです。

 

 

当院では尿管結石の手術や、膀胱結石などの手術にも対応しており、その予防も常にガイドラインに沿った治療を提案しています。尿路結石でお困りの方、最近お水飲む量が増えたなど、気になることがありましたら当院までご相談ください。